『われわれには定められた女あり、...』¹
「...その女に出会わぬと一生は駄目」で完成するフランスのことわざ。
プラトンの『饗宴』の中の次の話を思い出す。アリストパネスは愛の起源を説き、その昔人間には男と女、さらに男女(おめ)(アンドロギュノス)の三種類があったと述べている。このうち両性具有のアンドロギュノスは、全体として球形、回りを背中と横腹が取り巻き、手足はそれぞれ四本、顔は二つであった。力強く、おまけに驕慢で、神々に反抗を企てたため、主神ゼウスはこれを二つに割き、男と女とした。(その時の切り口を四方八方からまとめて閉じた跡がヘソである)。
この子孫である男と女は、それぞれ昔一体であった相手を求めるのであるが、その相互の求めがエロス(愛)であり、この愛は人間本来の姿に戻ろうとする衝動なのである。
それぞれが求める昔の半身がベター・ハーフであり、もしそれが見つかれば調和ある家庭が築けるが、見つからなければ一生は駄目ということになる。
1. Il y a une femme qui nous est destinée,
Si on la manque, toute la vie est
gâchée.
(志子田光雄)
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